旧暦10月。全国の八百万の神さまが、人々の縁を決める大会議を行うため出雲に集まります。その月は、神様が留守になるため全国的には「神無月」と呼ぶのに対し、神様をお迎えする出雲地方では「神在月」と呼ぶのです。まるで偶然のようで必然的に深く絡まる縁。それは男女の縁だけでなく、日々のできごと、人と人、それらすべて結ぶことを「縁結び」と言われます。
縁結びの地であり、水の都でもある松江は、雨の似合うまちです。宍道湖や大橋川、松江城堀川にしとしとと落ちては消えていく雫。しっとりと濡れそぼつ雨の日の松江は、木々や花々を彩りよく蘇らせ幻想的な美しさをかもしだします。そんな松江に降る雨を松江市立女子高の生徒たちが「縁雫 ( えにしずく)」と名付けました。松江に降る雨は、こころをリセットし、あなたのもと へ素敵なご縁を運ぶ雨なのです。
島根県の花として指定されている「牡丹」。花びらが何重にも重なり合う量感には気品と風格が漂う。300年前から栽培され、今でも年間約80万本を生産する松江市大根島は、量、質ともに牡丹苗の生産地として全国一を誇ります。柔らかい春の風に揺られ、まるで島全体を彩る大輪の花々の情景は感動的です。
夕陽百選に選ばれる「宍道湖の夕陽」。陽が傾くと一人、また一人と宍道湖沿いに人々が集まり、茜色に染まる夕焼け空と穏やかに揺らぎ輝く湖面を眺めながら、それぞれの時間のなかで同じ景色を共有する。それは時にどこか同じことを考えているような、そんな時を待っていたような気さえする。どこにもあるようでここにしかない景色。居心地の良い時間がここには流れる。
古来より島根県西部の石見地方に古くから伝わる伝統芸能、「石見神楽」。独特の哀愁あふれる笛の音、活気溢れる太鼓囃子。豪華絢爛な衣裳と表情豊かな面を身にまとい演舞される力強い舞いは、目の前で繰り広げられる神話の世界に身も心も誘われる。ここで暮らす人々にとって、石見神楽は日常生活の一部となり、脈々と受け継がれている。
島根半島の北方約50km に大小約180 を超える島と4 つの有人島で構成される隠岐諸島。島後の北西の沖合いには海から約20mの高さでそびえ立つ奇岩「ローソク島」がある。日が落ちて、島の先端に夕陽が重なるその瞬間、それはまるで一本の大きなローソクに火を灯したように輝く。船上からしか観ることの出来ないロマンチックで感動の一瞬。その姿は、季節とともに色を変え波音とともに観る人の心に溶け込んでいく。
戦国時代後期から江戸時代前期にかけて最盛期を迎えた日本最大の銀山、「石見銀山」。間歩といわれる坑道や水抜き抗は700 余り確認され、そのひとつひとつがノミと金づちだけで掘り進んだ、名もなき坑夫たちのによる痕跡だ。銀山一体には広葉樹を含む自然が残り、2007年には世界遺産へ登録された。一人では成すことの出来なかった偉大な功績は時代が変わっても人々により大切に守られ、今もなお確かに残っている。
日本に古くから伝わる製鉄法である、たたら製鉄。時代の変化とともに一度は途絶えたものの、日本刀の原料生産と次世代へ技術伝承のため世界で唯一、ここ島根県奥出雲町では再びたたらの炎が灯されました。たたら製鉄のみで得ることができる至極の鋼を「玉鋼」と言い、主に日本刀の材料として使われます。日本が誇る伝統の技が、人々によって今も絶えることなく守られています。